全国に8万社ある神社の中でも、指折りの人気スポットである貴船神社。
貴船神社は、本宮、結社、奥宮、と呼ばれる三社で構成されています。
貴船神社のあれこれをまとめてみました。
行き方について
住所:
京都府京都市左京区鞍馬貴船町180
川沿いにある神社で、沿道は道が細く、参拝者も多いので車でいくことはあまりすすめられません。
駐車場は奥宮の方にありますが、台数は限られています。
参拝時間は1.5時間ほど見ておきたいですね。
いつ頃からある神社なのか?
はっきりしたことはわかっていないそうですが、西暦677年に建物を作り替えた記録があるらしく、よって、それ以前からあるということになります。
京都の有名神社の1つである、伏見稲荷大社は西暦700年頃なので、それよりも古いということになりますね。
貴船神社ができた理由あれこれ
①天から神様が降り立った説
昔々のはるか昔、丑の年の丑の月の丑の日に、貴船山の中腹にある鏡岩という大きな岩に、天から神様が降り立ったことに起因する……これが諸説の1つ目。
貴船山の中腹には、大きな岩が実際にあるそうで、今は誰も入ってはいけない禁足地になっているそうです。
丑の年、丑の月……、は干支の丑のことです。
干支は暦にも使われていたことがあって、じゃあそれが西暦のいつなのかは、計算する方法があるので、ネットで検索してみて下さいね。
②水の祠を作った説
西暦406〜411年頃、初代天皇の母親である玉依姫という神様が、黄色い船に乗って、大阪湾から淀川、鴨川をさかのぼり、そして貴船川にはいり、この地で水の神様の祠を作ったことに起因する……、これが諸説の2つ目。
この黄色い船が「きふね」と呼ばれる理由の1つとも考えられているそうです。
③他の神社からの分祀説
奈良県の大和神社の摂社である、高龗神社でまつられる高龗神が、奈良県の丹生川上神社でもまつられ、そこから更に貴船神社でもまつることになった……、というのが諸説の3つ目。
この話はネットでもあまり見かけませんが、とある神職さんから聞いた話であり、大和神社のサイトにも関連の記載があります。
ちなみに、大和神社は紀元前からある神社で、丹生川上神社は創建時期不明なのですが、大和神社のサイトには672年とあります。
丹生川上神社は、上社、中社、下社と、別々に三箇所あるのですが、現在、高龗神をまつるのは上社であり、高龗神を祀っていたことがあるのは下社になります。
祀られている主な神様について
高龗神
高龗神は、水に関する神様です。
雨を振ったり止んだりさせる、龍神という種類に分類されます。
龍神とは、中国の想像上の霊獣です。
日本での龍は、中国の影響を受けながら、蛇を神格化したものとされています。
龍は水中に住むと考えられていたことから、水の性質をもつのでしょう。
水は命の源です。
そして水なしでは考えられない農耕と結びつき、水を得るための雨をコントロールしたくて、振ったり止んだりを神様にお祈りしたのです。
闇龗神
本宮と奥宮には高龗神が祀られていますが、奥宮には、闇龗神、という神様がまつられているという記録があるそうです。
タカオカミのタカは、猛々しい、荒々しい、という意味があるそうです。
クラオカミのクラは、深い暗い谷底、という意味があるそうです。
オカミという漢字は、龍神の意味。
あわせると、「暗い谷の荒々しい龍」、という感じなりますね。
貴船神社はとても清々しい場所ですが、山中の川沿いにあるので谷間であって、陽が出ていないと少し薄暗い感じがあるので、ぴったりな感じですね。
パワースポットとされる理由
京都でパワースポットといえば、貴船神社の名前をあげる人は多いでしょう。
それはなぜなのでしょうか。
①歴代の天皇がつかいをだした(760年以降の話)
日照りがつづき、雨がなかなか降らず農耕にダメージがあった際、天皇が貴船神社につかいをだして、雨が降るように祈ることをしたそうです。
この時に、雨が降らない時は黒い馬、雨が降りすぎてる時は白い馬が送られ、これが絵馬の起源となったと言われています。
また、雨の問題に限らず、国にピンチが訪れた時には、危機が回避できるように貴船神社へつかいを出していたようです。
②気生根(きふね)と書いてることもあった
今は「貴船」と書いていますが、気生根、と書いていることもあったそうです。
この字の並びは、気が生まれる根っこ、すなわちエネルギーの根源地を意味することになるそうです。
エネルギーに触れれば元気になりますし、元気になれば運気も上がるでしょう、運気が上がれば万事快調!となります。
そんな風に信じられてきている場所である、ということですね。
③国で一番えらい人が使いを出すようなところは、庶民も無視できない
もっともな発想かと思います(笑)
天皇がつかいを出す神社に対して、この神社スゲーと考える庶民が昔から多いらしく、また、神社へ対する価値観は時代と共に変わりつつありますが、現在でも、人気のある神社であるのは間違いありません。
④丑にも秘められたエネルギーが?
人気がある場所ということは、あらゆるもの、妙なものも近寄ってきます。
丑の刻参り、を知っていますか?
丑の刻参りは、憎い相手に見立てた藁人形を、神社の御神木に釘で打ち込むという、日本に古くから伝わる呪いの方法の1つです。
↑こういうやつですね(笑)
前述した「丑の年丑の月の…」の件と、「宇治の橋姫」という古い文献に出てくる女性の話に貴船神社が出てくることから、呪いの儀式と貴船神社を関係付ける話題があります。
丑は、生命エネルギーの様々な結合、という意味もあるそうで、ここまで書いたことともマッチしますし、この神社のことをとてもよく表していますよね。
本宮のみどころ
水占い
人気ですね。社務所へ行って購入しましょう。
牛一社
牛一社は、本殿の裏にある摂社の1つです。
木花咲耶姫をまつりますが、牛鬼をまつるとも書かれています。
牛鬼でググると妖怪の話が出てきますが、貴船神社では妖怪のことをさしているわけではなさそうです。
牛鬼は「丑の年の丑の月の丑の日」にやってきた神様にお伴してやって来たそうです。
牛鬼はどうも口が軽かったらしく、そのせいで舌を八つ裂きにして奈良県・吉野に追放されてしまうのですが、その後、まじめに努力して、またこの土地に住めるようになったのだそうです。
その牛鬼は、舌という漢字で「ぜつ」という名をもつようになり、貴船神社を守る役目を担い、104代まで続いたそうです。
時代と共に舌家は各地に移り住んだそうですが、現在も一軒は残ってるそうで、貴船神社の灯篭にその名前を見つけることができますから、ぜひ探してみてください。
奥宮のみどころ
黄色い船を探してみましょう(笑)
説明の立て札を1つ1つ読んでいけば見つけることができます。
本殿の真下
龍穴と呼ばれる大きな穴があり「その中は見てはいけない」とされているそうです。
龍穴とは、陰陽道や、風水術で、繁栄するとされている土地のことをいい、ようするに、すげーエネルギーがあっぞ!という場所のことです。
穴を実際に見ることはできませんが、大工がノミを落としたら、突風が起こって、戻ってきたという伝承もあるそうです。
「龗」という漢字について
祀られる神様である高龗神の「龗」という字を拡大します。
「雨」に「口」が3つに「龍」です。
雨と龍は、この記事の冒頭で話題にしました。
そして口は龍穴と考えたり、貴船神社の三社であると考えると、この字は貴船神社のためにあるような字のように思えて来ませんか?(笑)
そしてとても難しい字ですが、これでもう絶対に忘れないことでしょう(笑)
結社のみどころ
磐長姫命をまつります。
日本の神様の中で重要な神様の一柱である瓊瓊杵尊は、木花咲耶姫という女神と結婚します。
木花咲耶姫のお姉さんにあたるのが磐長姫命。
木花咲耶姫が結婚する時に、そのお父さんが、磐長姫命もさしだそうとしたのですが、瓊瓊杵尊は、
「あまり可愛くないからいらん。」
と断りました。
これは神話の一節です。
そこでひどく傷ついた磐長姫命は、この地に留まり、縁結びの神様になって、人々が良縁に恵まれるようにしたいとおっしゃった、という伝承が残っているのだそうです。
とても前向きな話となっていますが、ここに来ると怨念みたいなものを感じるという人もいらっしゃいます(笑)
平安時代の歌人・和泉式部もここで夫婦関係が上手くいくようにお祈りしたそうですね。
ライトアップについて
1月〜2月の雪が降った土曜日だけ、夕方からライトアップが行われ、バスなども延長運行がされるようです。
ライトアップの有無は、実施される場合のみ、SNSで発表されます。
これに関する詳細は、以下よりどうぞ。(ただし2019年のものです)
食事などについて
お店はありますが、観光地などで平均すると高めの傾向です。
夏場は川床のお店が開くので賑わいますが、やはりちょっと高めの傾向です。
貴船神社周辺は平日でも少し混むぐらいなので、少々の覚悟はいるでしょう。
さいごに
神社をパワースポットと呼ぶのが嫌いな自分ですが、貴船神社はパワースポットと呼ばないわけにかいかない……という結論に至りまして、貴船神社につきましては、パワースポットと呼ばせていただこうと思います(笑)
余談ですが、磐長姫命は、木花咲耶姫を恨み、今もなお睨み続けているという場所が、静岡県は伊豆の方にありまして、そちらもご興味あれば是非(笑)